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【赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)】

「精進料理をいただく心構え」

心を込めて作られた料理は、季節に見合った桶に入れられ、庫院 [台所] に奉られた韋駄天様と 竈の仏様の前に置かれます。そして、料理係の責任者、典座和尚は 僧堂に向かい、僧食九拝「焼香九拝」を行ないます。       九拝は、


1:「作った料理を韋駄天様に足速に僧堂に運んでいただく」という意味と、

2:修行僧に向かい、敬意を込めて召し上がれという意を表しています。


この様にして恭しく給された食事ですので、当然頂く側にも厳しい作法が示されています。 「赴粥飯法」には沢山の食事作法上注意事項がありますが、 その中からいくつか紹介します。


・話は一切しない。・きょろきょろしない。・背筋を伸ばし、坐禅を組んでいただく。 

・食器の音を立てない。・食器は必ず両手で持つ。・隣の人のうつわをのぞき込まない。

・食べるときに音を立てない。・すすって食べない。・口いっぱいに食べ物を詰め込まない。

・食べ物を残してはいけない。・もっと欲しそうな態度をとらない。・舌で口囲をなめない。

・皆と食べる早さを合わせる。


道元禅師は当時の一流の修行道場「建仁寺」の食事風景を見て、次のように嘆きました。
「修行僧の食事の仕方は作法どころか、鳥やけだものが物を食い散らかすようだ」・・と
道元禅師の努力により、「典座教訓」「赴粥飯法」にて 修行僧の食事作法はとても美しく完成され、茶の湯の作法などにも影響を与える 教訓や飲食方法の指針となったのです。


「いただく時」五観の偈(ごかんのげ)を唱える

修行僧が食事の際に唱える五観の偈は、仏道修行としての食事をいただく精神を表しています。

候聞遍槌、合掌揖食、次作五観
  • 一 計功多少量彼來処
  • 二 忖己徳行全欠応供
  • 三 防心離過貧等為宗
  • 四 正事良薬為療形枯
  • 五 為成道故今受此食

遍槌を聞くを候ち、合掌し揖食して、次に五観を作す。

★ 一には、功の多少を計り彼の来処を量る。 (素材のこと)

★ 二には、己が徳行の全けつをはかって、供に応ず。(反省)

★ 三には、心を防ぎ、過るを離るる事は貪等を宗とす。(3)

★ 四には、正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんが為なり。

★ 五には、成道(道業)を成ぜんが為に今此の食を受く。



続 次に中村信幸先生の赴粥飯法の項目のみを掲載しておきます。

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